カンボジアのボランティア体験記
高橋友紀(ラ・テール)


出発前、このプロジェクトの準備にあたり、カンボジアにはパンに使う資材・包材や材料がないことや、気候も亜熱帯のため日本と全く異なり、環境に対応した設備も備わっていないことを知りました。そして1週間のパン作りボランティアに期待と不安を抱えながら、私達はBBSに向かいました。BBSの生徒は、セッツ君とナッ君の男性二人で、講師は加藤晃先生です。カンボジアという国は私たちのいる日本とは違い、欲しいものをそのまま手に入れることがなかなか出来ません。特に粉の種類は選ぶほど種類はなく、砂糖も塩もバターもいい状態とはいえません。現地のみなさんにも喜んで頂ける様な、十分に満足できるパンにできるのかと一瞬不安になったのですが、加藤先生が瞬時に問題を解決し、日頃の経験から発酵種やレーズン種を作り、気温が40℃近くあるカンボジアで日持ちの良い日本のレベル並のパンを次々と作り出して行きました。作業がはじまり一番驚いたことは、意外にもパンを作る悪条件の環境ではなく、生徒2人の仕事に対する姿勢でした。パンのことを全く知らないうえに、言葉の壁がある中ジェスチャーで一生懸命理解し、余った時間を見つけては残生地で何度も成型の練習をしていました。また生徒2人も日本のパンを食べたことがないにもかかわらず、先生に付いてひとつひとつ確実に習得して行きました。その結果3日目で食パン、4日目でフランスパン・菓子パンを作れるようになり、最終日には自分たちだけで作れるようになっていました。今回のプロジェクトでは、教えに行ったつもりが現地の人々からたくさん教えてもらうことになりました。
カンボジアは、仕事がしたくてもできない、学校に行きたくても行けないような国です。そういった環境で育った生徒2人の仕事に対する姿勢を見て、毎日当たり前にしている仕事や日本での恵まれた環境の有り難さを身にしみて感じました。皆さんも、是非ボランティアに参加してみませんか?