2003年11月25日 パンニュース記事より

職人である前に「人づくり」目標を持って働ける店に
パンステージ・プロローグ/山本 敬三氏


オープンして5年目のパンステージ・プロローグは全国でも屈指の繁盛店として知られる。オーナーシェフの山本敬三氏は、人づ<りを重視し、月7回の休日を実現。スタッフが自分の時間を持つことが、店にはね返り、ひいてはお客へのサービスにつながるという。再来年の秋には2号店を計画中。
横浜市青葉区美しが丘西1-3-10   TEL(045)902-7879   午前7時〜午後8時、年中無休。
山本さんがこれまでに最も影響を受けた人というと。
山本:ブロートハイムの明石(克彦)さんですね。中村屋をやめていくつかのべーカリーで働いていて方向性を見失っていた時に明石さんの講習会に参加して、パンづくりへの姿勢やオーナーシェフとしての考え方に接して衝撃を受けた。それで独立しよう、と決心がついた。

具体的に明石さんの話で心に響いたことというと、どんなことがありますか。
山本:べーカリーが素晴らしい仕事だということ、それからリテイルベーカリーは、手間をかけた仕事をするべき、といったことですね。明石さんの講習会にはずっと欠かさず出席して、そこで1年間の自分のブレを修正して、新たな気持ちでスタートする、そういう場所になっている。明石さんもパン職人である前に社会人であれ、と言っていたし、初めて会った時も今も、私に対する態度が変わらない。

中村屋には長く勤めていますね。
山本:パンづくりや店の運営を学んだというよりも社会人として育ててもらったと思っています。当時の上司で、役員になった人もいるが、今でも交流があります。

中村屋という大手にいたことが、独立したあと役に立ちましたか。
山本:大手とリテイルでは別世界というか全然違う。待遇がそうだし、身体を壊しても保証してくれる。中村屋では店長を5年務め、製造・販売、大型店・小型店、路面店・インストアを経験した。2年間は店の立ち上げにも携った。

独立して5年目となり、少しずつ従業員の休日を増やすべく改善を図っているそうですが。
山本:僕は大手とリテイルを経験しているので、両方のいいところを採り入れられないか、と考えた。直接のきっかけは、おふくろが急に亡くなったこと。そこで僕自身が変わった。1年間かけてスタッフー人が3ポジション(仕込み、整型、焼成)をこなせるようにして、交替で月7回の休み(7、8、1月は10回休み)をとろう、と呼びかけて1年前から進めてきた。同時に僕が経理もやるようになって、パソコンを習い事務を簡素化した。

店の売り上げが多いですから、実現はかなり難しいでしょう。
山本:そのために製造量を落としながら進めた。今年はその分をかなり取り戻して、思ったような形になりつつある。

それでは品切れを起こして、お客からクレームが来ませんか。
山本:それはありましたが、これから長くべーカリーを経営していくためには、従業員の休みを増やすことは必要なことですから。今は売れ筋商品はあえてロスが出ることを計算して閉店時にある程度残すようにして作っている。

製造の才ペレーションは変えましたか。
山本:製造工程を見直し、無駄をなくすようにした。最初から無理だといっていてはできないし、こういうもんだと思い込んでしまってもできない。自分も変わっていかないとできない。

プロローグでは、未経験者しか雇わないとか。
山本:初めて働く人を入れる。人柄が大事だし、親がかえでなく、1人で家賃を払って生活している人がいい。べーカリーはチームワークで仕事をしているし、仕込みからレジまでつながっている。協調性がないと難しい。いいパンも作りたいが、人を育てたい。

年中無休というのはどうなんですか。
山本:原材料が寝ることなく常に動いているため、発注が楽になった。それまでは休みの日に仕込みや種や自家製フィリングを作るために出ていたが、それはなくなった。その代わり出勤した時は目いっぱい働く。休みと仕事のメリハリができたと思う。土、日は全員が出勤してコミュニケーションをとるようにしている(常勤の社員10人、パート、アルバイト20人)。

従業員の受け止め方はどうですか。
山本:もちろん評判がいい。だらだらと仕事するのではなく、仕事と休みそれぞれを充実できて自分のために使える。自動車教習所だって行けるし。 それと僕がいなくても回る店にしないといけない。

再来年に計画しているという新店舗は。
山本:ここから20〜30分の場所で、ここと2店でひとつという考え方で、スタッフも行き来する形を考えている。若者の意識も変わり、時代も変わっている。昔のような教え方では無理があるし、日標の持てる店にしていきたい。

1966年東京生まれ、都立農芸高校食品製造科卒、新宿中村屋で10年勤務した5年後に独立、家族は妻と長男の昇平希、趣味は釣り、YAZAWAClub会員。

山本敬三氏


人づくりを重視し、スタッフを充実することで顧客満足度を高める


絶え間なく来店するパンステージ・プロローグ
朝7時に焼きたてのフランスパンを提供する、とのコンセプトで、長時間発酵させ、粉の甘みを出した。バゲットは250円。息子の昇平君の名前を商品名に。
【配合】
フランスパン専用粉・・・80
内麦粉(甲斐小麦)・・・20
インスタントドライイースト・・・0.1
塩・・・2.2
モルト(ユーロ)・・・0.3
水・・・68

【工程】
ミキシングL4分M15秒、握上温度23度C、発酵13時間(前日の午後4時〜翌日午前5時)、分割350g、300gk、ベンチタイム60分、成形、布取り、ホィロ28度C65%70分、焼成230度C30分(スチーム)

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