パンステージ プロローグ 山本 敬三 氏 | ![]() | 18歳で新宿の「中村屋」に就職。パン部門に配属される。その後「ファリーヌ」「東山堂ベーカリー」をまわりフランスに。2ヵ月の滞在は「ステラマリス」(ミシュランで星を取ると言われている日本人シェフのフレンチレストラン)パンをまかされて過ごす。帰国し、「アラマーノ」で腕を振るった後、パンに触れはじめて15年後にあたる99年10月「パンステージ プロローグ」をオープン。 |
パンの面白さに目覚めたのは就職してからです。就職先の新宿中村屋でたまたま配属されたのがパン部門。不思議なことに、毎日パンを作っていると日々出来上がりが違うんです。まるで生き物のようで、愛情を与えればきちんと跳ね返ってくる。粉というものから全く形を違えたパンというものが出来ること自体が魅力でした。これはなかなか奥が深いぞ、ならば深く追求していこうではないかと思ったんです。![]() まず、わざわざお客さんにここのパンを買いに来てほしいと思いました。だから商店街で店を出すのは嫌だったんです。「ついでに買って帰るパン」でないものが作りたかった。窯を石窯にしたのは、イーストフードを使わないパンの特徴が最大限いかされて美味しいパンが実現できると思ったから。フランスパンを食べるとよく分かりますが、まわりの皮はバリバリです。なのに中は柔らかい。パンって決して柔らかいだけのもではないんですよ。 ![]() 長時間発酵させたパンは、あっという間にイーストフードでふくらましてしまったものより絶対に旨みが引き出されて美味しい。これは僕が修業中にお店で学んだ事ではなく、僕自身が試行錯誤の上出した結論です。そしてこうして作ったパンは劣化が遅いのも特徴です。1週間たっても美味しいパンなんですよ。 パンの原価率は他のお店よりかなり高いと思います。でもね、販売ロスがなければそれでもやっていかれるんです。「わざわざパン屋」としてあるからには、来てヨカッタってお客さんに思ってもらえるお店を続けていきたいですよね。 取材日 2002年5月 |