シチリア島・パレルモとローマ
イタリアのパン・食材・文化研修旅行

<2001年4月11日〜20日*10日間>
第3日目
4月13日(金)
パレルモ 聖書の中で、4月の満月の次の日曜日をキリストの復活の日として定められ、カトリックの信者にとって一年で最も大切な日—Pasqua(パスクワ)を、15日にひかえた今日から、ローマを中心にイタリアでも様々な行事が開催され、人々のPauqua Holidayが始まった。

シチリアワイン研修
昨日の肌寒い天候からうって変わって、シチリア島らしい太陽が輝く中、今日はまずシチリア島の中でも最大規模を誇るワイン工場Duca di Salaparuta社の視察に伺う。


◇Duca di Saraparuta社ワイン工場視察
輸出部のMR.SERGIO APDITO氏をはじめ温かい歓迎を受け、まずは敷地内のワイン博物館にてDuca di Sarapruta社と、シチリア島のワインの歴史についての説明を受ける。館中には、1800年代終わりから1900年代初めに使用されていたワイン製造の器具や、農業文化を語る様々な器具が並んでいた。

ティレンア海が目の前に広がる
 
手動ぶどう圧搾機

◇Duca di Saraparuta社の歴史
1824年、今のシチリア島Castel duccioに居在していた有力貴族Duca家の10番目の子孫、GIUSEPPE ALLIATAは、両親の行っていた細々としたワイン作りを継ぎ、 本格的に生産体制に展開していこうとする。
しかし、当時、統一を果たしていないイタリアでは、ワインの製造が禁止されており、栽培されたぶどうはフランスや北イタリアへ運ばれていた。その中、GIUSEPPEは、まずフランスでワイン製造を学び、これまで手荒な製法で、あくの強いワインしか作れなかったものを、フランス人を招聘し、機械を入れ、シチリアで採れるワインに適した製造法を開発してゆく。その後、5000本のまとまった量を製造できるようになると、貴族の友人や、外国へ輸され、20,000本を作る頃には、全ヨーロッパの貴族からも好まれるようになる。また、作られたワインは糖分が多く、あくが強いという特徴があったため、比較的乏しい味わいであった、北イタリアのワインとブレンドされていた。フィロソというぶどうの木の根を食べる虫が蔓延し、ヨーロッパ中のワイン製造者を脅かした時は、アメリカからぶどうの木を入れてしのいでいた。その後、軌道に乗ったワイン製造は代々受け継がれ、3代目Duca di ENRICOは、ワインの本やベジタリアン料理の本を出版、ワインコンテストにも出場する等、Duca家の名を、広く知らしめてゆく。しかし現在は、巨額の相続税に耐えられなかったため、Duca家の血統の経営から離れている。



熟成樽前にてMr.APDITO氏と
次に熟成庫へと向かう。
<主な輸出先>


<ブランド別生産割合>


シチリアワインの代名詞の一つにもなった当社のワインであるが、DOCに認定されているのは3代目の名をつけた、Duca di Enricoのみで、「DOC=美味しいワイン」という観念の強い日本を始めとする国々の評判が気になるという。実際、売上量が一番多いのは「D;uca di Enrico」。DOCに認定されるためには、国で定められた様々な基準が必要であるが、それではワインが画一化されてしまう。Duca di Slaparuta社が創業から守り抜いてきた、オリジナルの製法をこれからも守り続け、DOCでなくても、高品質を維持できることをアピールしたいと、Ardito氏は力強く語っていた。

◇「CORVO」の伝説
オリジナルは「ぶどうの街」とされていた街の名前。しかし、「CORVO」には伝説がある。
昔、ぶどうの収穫を全て手作業で行っていた時代、その作業は、大変な重労働であった。日中、農夫が疲れを癒すため、寝ていると、CORVO(からす)が鳴きさけび、農夫はうるさくて眠れない。そこへ、動物を大切にしていた僧が通り、農夫の悩みを聞く。僧は、からすに「どうしてそんなにうるさくするのか?」と尋ねると、からす達は「もううるさくしないから、そのワインに、自分たちの名前をつけてくれ。」これが、「CORVO」のという名のワインが誕生した伝説である。
視察先:<CASA VINICOLA DUCA DI SALAPAPUTA S.P.A>
90014. CASTELDACCIA, PALERMO
TEL: 09194 52 32/FAX: 09195 32 27


製粉所・乾燥パスタ工場視察
Duca di Salaparuta社でのワイン研修終了後、近くにある製粉所と併設の乾燥パスタ工場の視察に立ち寄る。 「パスタ」がイタリア料理において欠かすことの出来ない食材であることは、昨今の日本におけるイタリア料理ブームで日本人の間にも浸透している事実である。しかし日本人にとって「パスタ」はイタリアでいう、「Spaghetti(スパゲッティ)」に代表されるロングパスタのイメージが強い。実際には「Penne(ペンネ)」やシチリア島特産の「Aneretti(アネレッティ:指輪の意)」の様な「ショート パスタ」も含めればイタリア全土には約3,000種類にも及ぶ「パスタ」が存在する。また、パン製造においてもFarina(小麦粉)、水、塩、イーストなどを加えて練った生地自体もイタリア語では「Pasta」と呼ぶ。

「Pasta Tomasello」社

○Pasta パスタ○
◇パスタ セッカ<乾燥パスタ>

主としてセモリナ粉(セモラ/デュラム小麦をあら挽きにしたもの)と水で作った(原則として塩はいれない)ドウを、大小さまざまな形に成形し、乾燥させたもの。長期間の保蔵が可能である。一年を通して日照時間の長い南イタリアで多く生産され、特にナポリ、グラニャーノの生産地が知られている。スパゲッティや、リングイネ、ブカトーニなどのロングパスタや、ペンネに代表されるショートパスタ、またスープに浮かべるような小粒状のものもある。

硬質小麦
◇パスタ フレスカ<生パスタ>
通常、軟質小麦から作られた薄力粉と卵黄を使い、伝統的には手で捏ね上げられる。数時間から、長くても2,3日以内で料理される。特に北イタリアで多く食される。中に詰め物をしたラヴィオリや、トルテッリーニなども生パスタの種に含まれ、乾燥パスタに比べ、柔らかい食感が特徴である。


◇パスタ フレスカ<生パスタ>
通常、軟質小麦から作られた薄力粉と卵黄を使い、伝統的には手で捏ね上げられる。数時間から、長くても2,3日以内で料理される。特に北イタリアで多く食される。中に詰め物をしたラヴィオリや、トルテッリーニなども生パスタの種に含まれ、乾燥パスタに比べ、柔らかい食感が特徴である。

見学に訪れたのは、シチリア内でも大きな規模の製粉工場と乾燥パスタ工場を併設した、MOLINO&PASTIFICIO TOMASELLO srl.。パレルモを中心に、シチリア島東部では、このTOMASELLOブランドのパスタの需要が高い。1時間に6,000Kgのパスタを製造し、日本でも品質の高さで知られ、人気のBarilla社の依頼も受け、Barillaブランドのショート・ロングパスタも製造していた。スタッフによって、日本ではあまり見られない、セモリナ粉の製粉過程や機械の説明、挽き具合によって、Smola(セモラ・粗い)、Smolino(セモリーノ・より細かい)と呼び名が変わること等の解説を受けた。製造過程では、ほとんどの部分が機械化され、最小限の人員のみで機械のオペレートや最終的な荷詰がされている。見学中も、ハケやモップを持ったスタッフが、粉やパスタの破片などを丁寧に集め掃除をしていた。 イタリアの法律では、乾燥パスタは硬質(デュラム)小麦のセモリナ粉だけを持ちいらなければならないことが決められているが、国内の硬質小麦生産だけでは追いつかず、カナダや、アルゼンチン、アメリカからの輸入に頼っているのが現状であるという。また、最近、国が他国産のパスタの輸入をしぶしぶ受け入れたため、材料に薄力粉を混ぜたり、見栄えのするようにむやみに卵黄やバター加え、その上価格が低い商品が店頭に並ぶことも多くなったという。TOMASELLO社としては、イタリア国産そしてシチリア島産としてのプライドを守り、それだけの品質を保証していることを主張していきたいとの力強い言葉があった。最後には社長のTOMASELLO氏がわざわざ挨拶に来てくださった。

製粉所内


工場スタッフを囲んで


パスタ工場見学の後は、海辺の近くのレストラン「FRANCO」へ。
店の主人FRANCO氏は日本にも何度か来ており、イタリア料理フェア等に参加しているということで大変フレンドリーであった。メニューは新鮮な魚介を使ったグリルやシェフおすすめのイカ墨のリングイネ。中にオレンジの皮を刻んだものを加え、特有の臭みを消していた。
食事も終わりに近づいた頃、FRANCO氏を先頭に伝統シチリア楽曲を奏で、楽しく歌う音楽隊が登場した。一気に空気は盛り上がり、バンドネオン、タンバリン、そしてシチリアの伝統的なつぼ形の楽器が我々と周りの人々を巻き込んで、まるで音楽ステージと化した。地元の方と一体化して楽しむ事のできた素敵なランチとなった。

かんぱ〜い
  
水揚げされたばかりの魚類   楽しい音楽隊   明るい雰囲気のテーブル

午後は、パレルモから車で約20分走った小高い丘にある街、Monrealeへ。この街はヴィザンチン様式のモザイクが残るDuomoのある街として知られている。早速Duomoの見学へと向かう。1174年にグリエル2世によって施工が始まったこのDuomoの中に入ると、内部に張り詰められた新約聖書にちなむモザイク画に思わず息を呑む思いがした。祭壇の正面に手を広げているキリストのモザイク画はパレルモ市内にあるパラティーナ礼拝堂のものよりも壮大で、このDuomoが長年念歳月を要して作り上げられたことが納得できる。

Monrealeにて数々の国々に支配された歴史を持つシチリアの文化に触れ本日の研修を終了した。



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