パン屋さんにプラスな情報が届きました。

◎ハンナ さんよりパン屋さんにプラスな情報(vol.159)

先日はありがとうございました。
わざわざ寄ってくれてとってもうれしかったです。
「オレ、やっぱミッチャン好きだな。」
と言ったら、女房に大笑いされましたが。
そんなつもりでいますから、俺にできそうなこと、俺にしかできそうにないこととかもしあればいつでも声を掛けて下さい。馳せ参じます。
いままで機会はなかったけど、女、金、欲、夢、家族、人、
ゆっくりいろんな話を聞いてみたいです。
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さてさて、ここから本編。
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問屋の営業2年目のH君。
やる気満々。このごろめっきり男前な面構えになってきました。
「今お使いの餡はやっぱり特別なこだわりとかあるんですよね?」
「いや、ないよ。適正な価格で納得できるレベル、それだけ。こだわりもしがらみもないよ。」
「それなら、今日はちょっとオススメを持ってきたので、味だけでもみてもらえませんか?メーカーは、最高の小倉餡、自信作だと言ってました。」
「どれどれ。ふうん。」
「どうでしょう?」
「おいしくない。おそらく使ってある小豆はうちのなんかより数段良質なものだと思う。
粒も大きいし。けど、あと糖度を5ぐらい上げて、塩をひとつまみ入れてくれないとアンパンには使えない。試しに食べ比べてごらんよ。どう?」
「味がしっかりしていて美味しいです。たしかに比べると味がぼやけている気がします。
でも、甘さが控えめなのも塩が使ってないのも時代のニーズだという話ですが。」
「ちょっと待って。いいか。例えばうちの店でアンパンを買うお客さんは10人に1人。でもその1人が4個も5個も買っていくんだな。
場合によってはアンパンだけ買いに来る。そんなアンパン好きはさ、ちゃんと甘くておいしい餡がたっぷり入ったアンパンが好きなんだよ。それがアンパンファンのニーズ。
『時代のニーズ』で10人みんなにアンパンを買わせようと思ったって絶対ムリ。
逆に、普段アンパンなんか買ったことのないお客さんの横で、トレーにアンパンばかり載せてる客がいるとして、そんなに気に入ってる人のいるアンパンなら一度買ってみようかしら、って気になることの方が、10人みんなにアンパンを買わせることができる確率が高くなると思わない?それがずっとパンの現場にいる俺の考え方。
今日持ってきた餡で作ったアンパンを人からもらえば、『いいわねこれ、あんまり甘くなくて。』そう言う人は多いかもしれない。
でもおそらく自分でお金を出して買う人の意見じゃない。メーカーの開発の人間は、そういう見方でパンになったものを食べ比べたことがあんまりないかもしれない。
自分で普段買ってまで食べるアンパン好きはいないのかもしれない。
こんな小さな店の意見はたぶん相手にされないだろうけど、帰ったらあんたの上司やメーカーに話してみない?こんなにいい小豆で作った美味しい餡を、俺は食べてみたいな。」
「話してみます。」

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ベーカリー ハンナhanna@hw.tnc.ne.jp
店主 阿部成人(あべなりひと)
http://ameblo.jp/panemon/
地図URL
駿河こんがり堂本舗 http://www.kongarido.com/

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