パン屋さんにプラスな情報が届きました。

◎ハンナ さんよりパン屋さんにプラスな情報(だって現場なんだもん24)

そもそもは、昔勤めていた店の、3日間続く半額セールが事の始まりです。
スタッフはヘロヘロ。還元した現金でまたパンを買ってもらえる訳でなく。3日目には売り上げも初日の約半分。売れ残るパンの山。儲けはほとんどなし。セールだけが目当ての多くの一見さん。販促効果ってあるのかな???
今のところ、うちの店では製造スタッフは僕1人+女房が販売と掛け持ちでお手伝い。99%スクラッチのため、一日で用意できる商品は60万ぐらいが限界です。
これだって2日も3日も続けばたぶん死にます。一日だけならかなりの無理もきくってもんです。その一日で最大の効果を求めようと、ない知恵をしぼりました。
さて、そこで『全額金券セール』のお話です。
1000円のパン+1000円の金券、に対して1000円の現金をお客からいただく。
後日、1000円の金券に対し、1000円のパンをお渡しする。
単純に言えばこういうことです。
いくらのパンにいくら払ったでしょうか?簡単です。2000円のパンに1000円の現金。そう、半額セールと同じです。
では、半額セールとどこがどう違うでしょうか?

メリット1
うちのこのセールは一日限りです。
二ヶ月前からアナウンスし、当日の朝刊には必ず折り込み広告を入れるので、用意したパンは売り切れ完売になります。
60万のパンに対して確実に60万の現金の売り上げがあります。さっきの理屈を踏まえれば、60万のパンを半額で売った場合の30万×2、60万用意したパンを2日連続完売したのと同じ売り上げがあるということです。2日目の60万円ぶんのパンに当たる金券の利用は、金券の有効期限次第ですが、うちでは40日間に設定してあるので、一日8000円〜20000円といったところです。一日当たり、この程度の製造量の増加が大して負担にならないのはおわかりですね。

メリット2
半額セールの場合、おまけした半額分の現金を自分の店でまた使ってもらえる可能性はほとんどありません。
でもこうすれば全額先に回収してあるので、すべて使ってもらえたことになります。
言い換えれば、たった2日間のセールの間に、すべてのお客さんに2度ずつ来店してもらい、おなじだけの量のパンを買ったもらったのと同じだといえるわけです。

メリット3
金券を使用するために必ずもう一度来店してもらえる。

メリット4
①混雑を避けるために100円未満は切り捨てで金券を還元。
②金券にお釣りは出せない。
そういう設定にしてあるので、たとえば、1050円のお買いあげに対して金券は1000円分。金券使用の際は、1050円のお買いあげに対して1000円分の金券プラス50円の現金を頂く。
2100円分のパンを1100円で買ってもらったことになりますね。半額セールより若干利幅があります。

メリット5 金券の回収率は100%ではありません。うちの場合で、最低88%、最高96%、平均93%。金券を無くしてしまう。または使い忘れてしまうことがかなりあるようです。メリット4と合わせると、半額セールどころか、4割引セールぐらいの利幅にはなります。チラシ代ぐらいにはなる計算です。

メリット6
これは実際にやって初めて実感した、このセール最大の効果です。
というのはなにより、お客さんのうれしそうにはしゃぐ笑顔です。
理由は、
「まるでタダみたいな気分!」これに尽きるようです。半額セールでは絶対味わえません。
最初の買い物では、全額金券が返ってくるから、「まるでタダみたいな気分!」普段、3個のパンを選ぶのに延々悩むお客さんが、あっという間にトレイ山盛り。金券を使うための2度目の来店時には、お金を使わないから、また、「まるでタダみたいな気分!」またトレイが山盛り。
一般のセール時には考えられない客単価です。

メリット7
うちの開店記念日は5月7日。
しかし、開店記念セールは毎年7月の第三土曜日。
しかも、年に一度の『全額金券セール』。
そうです。先ほどいった金券の有効期間40日というのは、そのまま夏休み。夏対策用の必殺セールなのでした。おかげで毎年、夏には新規顧客がまとまって増え、売り上げを落とすことなく秋を迎えられます。
うちのように小さな店ほど、ありがたみと効果の際だつセールの形だと思います。
よかったら是非、アレンジして活用してみて下さい。

ベーカリー ハンナ
阿部成人(Narihito Abe)
hanna@hw.tnc.ne.jp

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