◆統清食品有限公司のパンテスト状況報告 5月28日から上海でベーカリーチャイナ、展示実演に先立ち、統清食品の研究所でパンとお菓子の試作を実施する、5月21日〜5月25日まで(5日間) 今回のパンお菓子の試作する材料は中国産(副材料一部を除き)を主に使用して行うことにする。強力粉の蛋白質(グルテン)は問題は無いが、食パンなどシンプルのパンを焼いた商品を見ると若干パンの色がくすんだ色をしている(灰色)と小麦粉の製粉作用なのか、匂いが気になる、給水(%)は問題ない副材料の入る パンに関しては、パンの出来も問題なく作る事ができる、以前も述べたことで、中国は水が悪いため、エスキモ300又は500を添加物として使用している事は 多いが、今回酵素酵母(米麹)を持参して使用する、パンの出来上がりも日本で作るパンと変わらないパンが出来、中国人スタップも驚きの眼で見ている事が印象的で、試食をさせるとハゥツー、ハゥツー(美味しいの連発)美味しいパンに国境の無いことを確認する、特に食文化が米を主食にしている中国の人達は日本人と同じ食味の感覚を持っていることが良く分かる、若い人達がチャンスを生かして中国でパン作りをする機会があった時に参考になればと思います パンの種類は、菓子パン生地(5種類)、あんぱん(中国産の小豆を購入して、自家製の小倉あんを作り包む)カスタークリーム(卵黄、牛乳砂糖でカスタークリームを炊き使用する)さくさくメロンパン(特殊作り方をする、麩切り製法のメロン皮を作る)シナモンレーズン(菓子生地のシナモン、砂糖、ラムレーズン使用)カスタークリーム・アーモンドP・グラニュー糖でフィリングを巻き使用 バターロール生地 バタロール・ウィンナー巻きの2種類 デニッシュ生地、(30%バターコンパウド折込油脂) 生地1750g 油脂500g折込生地(3つ折3回) オレンジフィリング(パンペレディユアーモンドPその他の副材料使用) ショコラフィリング(パンペルディユ・スィートチョコ、その他副材料使用) クロワッサン生地(ニュージイランド産100%バターを水分調整品) クロワッサン(2.5mm厚さ)55gプレーン チーズクロワッザン(2.5mm厚さ)55gスライスチーズ使用 中国のホイロ温度、湿度(直ぐの温度、湿度上がるため扱いに注意する) サックリした感食に、良く食べる 食パン(プルマン)…一般的な配合で作る、オーブンの蓋に隙間のあるものがあり、温度管理に注意 釜伸びも良く、食感もしっとりして中々の出来栄えに感激 フランスパン…(中力粉が無いため・強力粉70%〜80%薄力粉30%〜20%)ブレンドして使用する。出来れば、発酵種20%〜30%使用した方が作り易い モルトは中国では手に入りません(持参) オーブン…スリップシートが無いものがり、今回はベニヤ板にパンを載せて入れる 蒸気…申し分け程度に出る。本物のフランスパンにはならない デニッシュブレット…生地は、バタートップ生地を使用する、折り込み油脂は普通の油脂を使用する。甘めの特殊は油脂無い(あっさりしたパンになる) 中国産の材料の特徴と癖 強力粉は、カナダ産輸入品(高い)種類も3種類〜5種類程度。中国産3,4種類程度 全麦粉(中国産) 薄力粉(中国産) イーストは、低糖用(赤ラベル)多糖用(黄金ラベル)2種類あり、さがぜば、生イーストもあるとの事ですが、加藤は使用しません 砂糖は、グラユー糖、綿白糖(上白糖)粉糖、黒砂糖などあり 食塩(精製塩)天塩は無い 脱脂粉乳はあります 卵・黄身の色が色っぽい(餌の成分のためでしょうか) 油脂・バター(ニュージイランド産など輸入製品) マーガリン・種類も豊富ですが、香り又は匂いがきつい製品が多い ショートニング・100%っ植物性と混ざりもの 良い材料を探して使用することが、最も大切ですが、まだ、日本のように、情報も少ないらしい。使用方法を工夫すれば、中国産の材料でも美味しいパンを作ることができます。 ◆月餅・焼き菓子 中国本場の月餅も溶岩窯で焼くためにレシピを工夫して、和菓子の技術で試行錯誤して試作をする。日本で何回も試作をして味の確認を取りながら作ることになる。 月餅、皮の作り方は本格的な方法で作ることに取組む グラニュー糖を水を入れて溶かす、ガムシロップを作り冷ましてオイルなどを入れ薄力粉合わせをして作る あんは、中国で練り上げた、日系企業の理研ビタミンの小豆こしあん・白こしあんの2種類を使用して、アレンジをする ①小豆こしあん・サラダオイル・クルミ・レーズン ②小豆こしあん・黒ごま入りあん ③白こしあん ・クコの実・松の実 3種類のあんを現地の工場で練り上げる、和菓子の経験を生かして、あっさりしたあんを本格的な月餅の皮で包む、中国の月餅のあんは油も多く、水飴も多量に使用しているため味がしつこく、少し食べても後味が残る感じがする。 本場中国で作る月餅は少し不安もあったが、中国の月餅の味を変えて行く気持ちで取組む、余談になるが、中国では、アルミや銅鍋を購入するのが難しく、今回アルミの鍋50cmの大きさのものと、木へらの大きいものをわざわざ日本から持参して挑戦することに熱の入り方も違って美味しいものを作る情熱が沸いてきたようきがする。 オレンジマフィン 自家配合のマフィンも作る、全卵、砂糖、マーガリン、サラダオイル、薄力粉、BP、コアントロー、オレンジ洋酒漬け(日本から持参)しっとりした本格的なソフトさに中国人もハゥツーを繰り返す(乳化材も使用しない)しっとりさは中国人も好きのようです。 自家製のバタクリームも作る イタリアンメレンゲ(卵白・ガムシロップ)で作り、マーガリンも香りが比較的に無いものを物を使用、植物性100%ショートニングを併用して、あっさり感のものを作る 中国でデコレションを作る時に使用する、ホィップクリームも少し癖がある(香料など)このバタクリームは小倉あんに少し合わせると、ミスマッチではあるが、パンにサンドすると、まろやかな味になり、新産品(シンサンヒン)(新製品の意味)中国での言い方新しい発見と驚きの声が上がる、美味しさに国境は無いと感じる。 ◆第7回・ベーカリー・チャイナ(上海パン機械展示会) 5月28日(金)〜30日(日)クシザワ電機製作所(参加3回目)(現地法人協力) 今回は展示だけではなく、実演も兼ねた方法を1年前から企画 クシザワ電機製作所 代表取締役 澤畠 光弘氏 メーンは溶岩窯(ハード系パン・ソフトなパン・月餅から焼き菓子まで焼ける)万能釜中国産のオーブンの数倍(10倍近い価格)のオーブンを中国人がどのように反応するか、溶岩窯を使用することで、パンやその他の商品の付加価値を高めるものが焼ければ、価格に関係なく、見てくれる中国人も必ずいることを信じての展示会の実演としたい そのため、スタッフとして、今日本でもパン業界で脚光を浴びている、。パンステージ・有限会社プロローグ 代表取締役 山本 氏 クシザワ電機製作所 よろず相談室 加藤 晃を上海に派遣する熱の入れようで、現地スタッフとして統清食品有限公司(台湾 統一企業と日本の日清オイリオ・三菱商事合弁会社) 千葉県幕張出身 中野元好君(クシザワ電機主催の経営勉強会参加者)張(ジャン)君 どうせ実演をして試食をしてもらうなら、パンなど思い切って焼く目一杯製品を作る方法で材料も揃える。 山本氏…ハード系 フランスパン・ソフトフランス生地、セサミ、くるみ・レーズンなどのパンを担当 加藤…菓子パン、月餅、ペストリー・飾りパン担当 商品企画と準備は良いが、問題は展示会の前日に機械を設置して、通電後うまく機能するものかが心配で、通電はしたものの、機械の一部でトラブル発生、ホイが予定の機種と違い、又、冷凍庫が思うように冷却しない、その他の機械は問題なく機能する 中国ではトラブルは当たり前と言うが、直接担当する者は気が気でならない、取り巻きは何とかなるさ(悠然としている) 中国でトラブルも味方にしなければやっていけない気がする、 当日本番に向け、朝8:30分から入場準備に掛かる、会場は冷房も効かない悪条件で一時はどうなるか心配をしながら仕込み、発酵、成形、ホイロ、焼成と手際よく作る仕込み水も冷凍機能がなく、生地温度も36℃まで上がり、パニック寸前でしたが、二人共状況判断で、生地管理をしながら仕込みに追われる状況が続く、でも焼いたパンは85点以上の上がりで、皆びっくりする始末、焼いたパンを次から次に試食として、一時は7、80人が我先にパンの試食に群がる光景に中国人の本能を見た気がする、 パン、月餅も皆美味しい(ハゥツー・ハゥツー)を連発して試食を食べる、レシピを教えてくれ、どうして作るのかなど質問する人も多く、中国のパン文化を 変えてゆかなければいけない気がする。 美味しいものは、皆分かっているが、パンの技術も見よう見まねで覚えている人が多い気がする、基本から本格的に学ぶことが必要ではないかと感じる ◆若い人達に一言 パン、お菓子を作る心構えとて、マニアル的に作っていては、技術の進歩がなくなる、 当然パンやお菓子を作ることで、品質の良い材料を選択することが大切ですが、 指定した材料以外では出来ないと判断することは、固定観念にとらわれた偏った考えで、商品作りをすることになる。 先ず、材料の特性、役割、パンお菓子にどのような影響を及ぼすものか、味にどのよに影響するかを、専門書や自分自身で体験しながら、勉強することが技術を覚える以上に大切な方法です、学科と実技を両立させてこそ本当の技術者と思ってます。 どうも一般的に、技術ばかり優先している気がする、10年の経験者でも材料を知らない人が多いのに驚くこともある 次にミキシング時間・給水(%)生地の固さ・生地温度・発酵時間など、マニアル通りで美味しいパンは出来ない、同じミキサーボールでも、粉の量でミキシング時間が変わることも分からないで、時間だけに頼った方法は間違いです。 特に菓子パン生地など、薄力粉が入り・砂糖多め、全卵、牛乳、バターなど乳製品が多く入る生地など、ただ時間だけミキシングしても生地が出来ているか確認をしないで作る人も多く、フックに掛かかって初めて生地ができて来る、先ず生地の出来具合を見る事を基本に考えて取組まなければ、中国や外国で条件は違うと戸惑いが生じることになることが多い、 中国で調達しにくい、又無い材料(その他)をお知らせしましょう 生イースト・モルトエキス・強力粉(種類が少ない・輸入品カナダ産・価格が高い) ライ麦粉・クラハム粉(但し・全麦粉・全粒粉のようなもの)フルーツ漬け込み(洋酒) 地域により、シートマーガリン・カスタークリーム・チョコクリーム・チョコチップ (流通問題で輸送不可能) マーガリン(全体に匂いがきつい) キャンパスシート(ハード系パン使用)スリップピールの無いオーブン 蒸気発生があやふや でも若い人達はチャンスがあれば、条件の悪いところで、パン作りに挑戦するもの大変勉強になると思う、3年の経験をつんだら、日本で作るパンの考え方も違ってくることでしょう。是非機会を見て挑戦して下さい。 もしも行く機会があったら、今まで7回中国でパン、お菓子作りをしてきました経験から、アドバイスも致します。 若い力で、本物のパンを考えて行きましょう、物作りの楽しさをもっと知って楽しくお客さんに満足されるパン作りを目指して行くことが、本当の仕事のような気がします。 |