イタリアパンフェアー技術講習会の報告
イタリアのパン・ピッツアの技術講習会


今年はイタリア年にあたり、私達も各店舗でイタリアのパンを中心としたイベントとして、2001年10月1日〜21日「イタリアパンフェアー」として計画しています。
そこで、イタリアパンフェアーに先駆けて2001年9月6日(木)、ホイートライフクラブ主催の元、国際フード製菓専門学校で「イタリアパンフェアー技術講習会」が開催されました。

ピザ&パニーニ
マファルダ トレチアータ&ロゼッタ
ライスコロッケ
飾りパン

日本堂の小山浩一氏による司会・進行のなか6種類のパンやイタリアン惣菜の講演・実演が行われました。


ローゼンボアの高崎健人講師によるピザパニーニの講習会ではピザ生地に甲斐小麦と醗酵種を使用するこだわりの生地が紹介されました。水分も74%とかなり柔らかいものであるが天板に薄くひろげ、具をのせて焼き上げると、表面は香ばしく具とよくなじむ口どけの良いものとなりました。
*** ピザ ***
〔配合〕
甲斐小麦
天塩
インスタントイースト
オリーブ油

醗酵種
モルト

100%
2%
1%
5%
74%
30%
0.2%
  〔工程〕
  ミキシング
  捏上温度
  フロアータイム
  ベンチタイム
  成型
  ホイロ
  焼成時間

L2M3
24℃
60分
20分
手を使って長方形に
なし
300℃ 10分
*** ピザソース ***(1時間位煮込む)
オリーブ油
玉ねぎ
トマト缶
完熟トマト
食塩
胡椒
バジルの葉
にんにく
アンチョビ
20g
1/2個
1缶
1個
少々
少々
4枚
1片
1缶位



また、パニーニ生地にはウォルサワー・サワークリームを使い、香高い味わいのあるものに仕上げました。当日はあらかじめ焼いてあったパンにジュノベーゼソース・生ハム・トマトなど挟んだものをパニーニマシンで香ばしく焼き上げました。
*** パニーニ ***
〔配合〕
強力粉
薄力粉
ウォルサワー(鳥越)
天塩
砂糖
サワークリーム
オリーブ油
水(18℃)
インスタントイースト

70%
25%
5%
2%
2%
10%
5%
59%
1%
  〔工程〕(オールイン)
  ミキシング
  捏上温度
  フロアータイム
  ベンチタイム
  成型
  ホイロ
  焼成時間

L4M3
28℃
60分
15分
ドック形
38℃ 80% 60分
210℃ 10分
*** ジュノベーゼソース ***
カシューナッツ
松の実
バジル
ニンニク
オリーブ油
食塩
黒胡椒
150g
150g
150g
5片
1.4L
適量
適量


〔パニーニの具〕半分に切ってジュノベーゼソースを塗る
①ローマ
②マティンース
③ナポリ
④カルボナーラ
⇒ソース・トマト・生ハム・モツァレラチーズ
⇒ツナ・ポテト・トマト・アンチョビ
⇒ソース・ツナ・トマト・オニオン・モツァレラチーズ
⇒ホワイトソース・ベーコン・オニオン・卵のスライス



ブレーメンの長嶌大輔講師によるイタリアパンでは、マファルダ トレチアータというリーンなテーブルロールとロゼッタの2種類が紹介された。

*** マファルダ トレチアータ ***
このパンはブレッチェンの一種で色々な形のテーブルロールの一種です。今回このパンに使用している粉は、イタリアで使用した粉を日本の粉で再現して作ってみました。イタリアのタイプ00という粉は、日本製粉の「赤松」に非常によく似ています。
イタリアの粉はほとんどがデュラム小麦から製粉されて、セモリナの状態のまま使用されるのがパスタ用粉になります。
それをなお製粉して使用するのがパン用粉で、その成分が「赤松」という麺用粉に非常に似ています。
〔配合〕
赤松(日本製粉)
ルビュール(老麺)
インスタントイースト

モルト
オリーブオイル

100%
20%
0.8%
2%
0.5%
4%
60%
  〔工程〕
  ミキシング
  捏上温度
  フロアータイム
  分割重量
  ベンチタイム
  成型
  ホイロ
  焼成時間

L2M4
28℃
45分
50g
20分
各種
36℃ 80% 50分
230℃ 20分 スチーム注入
注)ミキシングが長いとサクみが無くなるので早めに上げる。

胡麻・ケシの実・プレーンの3種

*** ロゼッタ ***
ローマを中心にしてロゼッタという名で呼ばれています。ミラノ地方ではミケッタとも呼ばれ、現在はロゼッタの方が一般的です。外観は5つの花びらの形をしており、中央部分が空洞に焼き上げるのが最大の特徴です。オーストリア支配の時にウィーンのカイザーゼンメルの影響を受けて作られたとも言われています。ハード系のクラスティーブレッドとも言われるように、皮を食べるパンです。
〔配合〕
赤松(日本製粉)
デュラムセモリナ
インスタントイースト
食塩
オリーブオイル
モルト

80%(2400g)
20%(600g)
1%(30g)
2%(60g)
4%(80g)
0.3%(9g)
55%(1650cc)
  〔工程〕
  ミキシング
  捏上温度
  フロアータイム
  分割重量
  成型
  ホイロ
  焼成時間

L2M4
27〜28℃
60分⇒冷凍40分⇒折込
55g
※ロゼッタの特徴である折込宵種をせず工程を省き折り込みも4回で、
 終了折り込みの途中でオリーブ油を生地に塗るという方法で作ります。

足立総次郎氏によって日本にはない形の成型を披露



チックタックの竹田薫講師によるライスコロッケの講習では米からリゾットを作り、中にホワイトソース・チーズを入れてフライにし、ミートソースを添えるという手の凝った物。丸めて冷蔵しておけば2・3日、冷凍なら1週間の保存が可能な為、前もって作りおきする事も可能。

*** リゾットの作り方 ***
玉ねぎ
味の素
胡椒


チーズ
パセポン

ホールトマト
乾燥トマト
ブイヨン
オリーブ油
ニンニク
650g(166g)
5g(1.3g)
8g(1.8g)
20g(5g)
1600g(400g)
400g(100g)
1.2g(0.3g)
3200g(800g)
480g(120g)
24個(6個)
12個(3個)
150g
25g












鍋にオリーブ油を入れて玉ねぎを炒める。
①の中にお米を入れて少し炒めてからブイヨン入りの水を入れてかき混ぜながら炒める。
②の中に感想トマトとホールトマトを入れて(フタをしないで)20分位炒めてから、調味料で味付けをつける。
最後に火からおろしたらチーズを入れて混ぜる。色取りで乾燥パセリを入れる。
冷蔵庫で冷ましたら、ラップで50g量り、中にチーズとホワイトソースを入れて丸くする。
丸くなったら薄力粉・卵をつけ衣をつける。
180℃の温度でカラッと揚げる。
揚げ終わったら、ミートソースを添える。

*** ホワイトソース ***
牛乳
薄力粉
コーンスターチ
バター
ミックスチーズ
500g
26g
24g
50g
60g
 ①

 ②
 ③
鍋にバターを溶かしてから弱火で薄力粉とコーンスターチを炒める。
4〜5分位炒めたら、牛乳を足して沸かす。
濃度がでてきたら、チーズを入れトレーで冷まして使用する。

*** ミートソース ***
玉ねぎ
ニンニク
牛豚挽き
トマトペースト
ケチャップ

ブイヨン
食塩
胡椒
醤油
味の素
パプリカ
チーズ
ナツメグ
650g
25g
500g
200g
350g
100g
2個
2g
1.6g
16g
0.8g
1.6g⇒色づけ
60g⇒最後に
0.5g⇒肉の臭みが取れる








オリーブ油を鍋に入れ、ニンニクを炒める。
①の中に玉ねぎを入れて透き通るまで炒める。
玉ねぎが炒まったら合挽きとトマトペースト、ケチャップなどの調味料とブイヨンの水を入れて5分位煮込む。
最後にチーズを入れて仕上げる。温かいうちにライスコロッケに合わせて盛り付けをする。
 
ライスコロッケを目の前で揚げ、昼食時に参加者の皆さんに配りました。





橋本泰之氏


エスプラン洋菓子店の塩田一善氏



トムトムの関口義哉講師&ホリデイ・インの栄徳剛講師による飾りパンの講習会では、大きく伸ばされた生地をキャンバスに、様々な形の飾りパンが作られました。加藤晃氏の説明によると、色づけの生地で飾りパンを作ることはイタリアでは一般的な事。日本ではあまり見慣れない飾りパンだが、イタリアの国旗を彷彿させるこの色合わせは、まさにイタリアフェアーを飾るにふさわしい作品です。
 
 

*** 飾りパン ***
〔A〕
ライ麦粉
フランス粉
砂糖
食塩
ショートニング

60%
40%
3%
2%
2.5%
43%
 〔B〕
 ライ麦粉
 フランス粉
 砂糖
 食塩
 ショートニング
 インスタントコーヒー
 カラメル
 水

60%
40%
3%
2%
2.5%
1.5%
少々
43%
 〔工程〕
 ミキシング L3M2
 パイローラー 3つ折 12〜15回
 使用3〜5日前に仕込み
 ビニールをかけて冷蔵保存
〔C〕
全粒粉(中挽き)
フランス粉
食塩
ショートニング
生イースト

20%
80%
1%
20%
1%
38%
 〔工程〕
 ミキシング L2M2
 捏上温度 25℃
 ビニールに入れて冷蔵庫で保存(5℃)
 生地は1週間前に仕込みする
 使用する時はパイローラーで滑らかにしたから使用
 焼成温度 ㊤130℃ ㊦150℃ 約60〜90分











今回の講習会ではイタリアのパンだけに留まらず、ソース類などの提案もあり、これから迎えるイタリアフェアーの十分な参考になりました。また、参加者も共に作ることが出来、より身につく有意義な講習会となりました。
濱野有美子

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