「小麦塾(中級)八ヶ岳合宿」報告 2005年8月26日(金)〜28日(日)
明るく楽しいパンづくりをめざすパン屋さんたちの…


◆小麦塾合宿とは
「小麦塾」とは、プロのパン屋さんを目指す人たちが、パンの知識や技術を習得する勉強会です。講師には、横浜を舞台に第一線で活躍しているパン屋さんのスペシャリストがそろっています。
小麦塾は、横浜を会場に12年前から始まりました。昨年から、実技と講義を集中的に勉強できるように、そしてパンづくりの楽しさを通して交流が深まるように…との思いから、八ヶ岳合宿が始まりました!
会場となっているのは、山梨県北杜市にある福祉施設「緑の風」です。緑の風では北杜の小麦を生産・製粉しています。
北に八ヶ岳、南に富士山、西には南アルプスが臨める場所で、小麦塾八ヶ岳合宿は始まりました。

◆今年の小麦塾合宿も、内容もりだくさん
小麦塾合宿は2泊3日の泊り込みとあって、全国からパンの勉強に集まりました! 北は北海道紋別市、南は宮崎県日向市から飛行機や電車を乗り継いで、山梨県北杜市に集合です。
遠くから長時間をかけてきているのにその疲れもみせず、生徒さんたちは期待に胸を膨らませた表情をしていました…!

今年の小麦塾合宿のテーマは「パンの基本を考える」。製パン実習と講義が朝早くから行われました。
講義では、材料となる小麦のこと、製粉技術のこと、パンづくりの製法のこと、パンに含まれる原材料のこと…豊富な資料と経験に基づくプロの分かりやすい解説で、パンの基本をゆっくりと、じっくりと再確認できたようです。
製パン実習では、朝6:30からもりだくさん。一つのパン生地を練って仕上げるのには、数時間から数日かかるものもあります。それらが時間差で次々と仕込めるように製造工程が組まれ、息つく暇もないほどです。天然酵母のレーズン種の種おこしから始まった天然酵母パン、製法の違う食パン生地2種類、フランスパン生地、菓子パン生地、クロワッサン生地、長時間発酵フランスパン生地、ソフトフランスパン生地…。それらの生地が成形を変えたり具材を変えたり…さらにバリエーション豊かなパンに広がっていきました! 生地を仕込む間に、メロンパンの皮作り、カスタード&チョコカスタード作り、カスタードであまった卵白でクッキーづくり…。目の回る忙しさで、ちょっと気をぬくと見失ってしまうほどです。

パンづくりを始めたばかりの人も、パンづくりの経験があってもう一度きちんと勉強をしなおそうとしている人も、どの人にとっても満足の講義だったようです。

◆講師陣のご紹介
「小麦塾」では、横浜のパン屋さんを講師に迎えています。
 加藤晃(パン屋さんよろず相談室)
 足立総次郎(パン屋さんよろず相談室)
 澤畠光弘(パン屋さんよろず相談室)
 青木光太郎(本牧館)
 山本敬三(パンステージ プロローグ)
 福田浩一郎(パンステージ プロローグ)
 渡辺良平(田辺商事㈱)
 萩原達也(社会福祉法人開く会 共働舎)
 澤畠和秀(パン屋さんよろず相談室)

プロローグ山本さんの仕込みの厳しい指導?塾生の皆さん注目! 美味しそうな地元食材を使用したデニッシュ
加藤さんの菓子パン出来上がり! 足立さんの成型の指導
足立さんのフランスパンの指導 清田さん真剣にフランスパンのクープ、緊張しています
小麦塾終了! ご苦労様でした プロローグの山本さん・福田さん見本指導です、塾生の小田さん真剣です
実習後、もう一度今日の確認、夕方の勉強会 塾生の浅村さんさん・小田さん、しっかりと技術の習得!

*** 小麦塾に参加して皆さんのレポート ***
小麦塾八ヶ岳合宿に参加して〜
宮崎県日向市 甲斐 千晴

今回このパン合宿に参加して色々な事を体験させてもらいとても充実した3日間を過ごせたと思います。
始めは、めまぐるしく時間が過ぎる中メモを取るのがやっとでしたが、一つ一つをきちんと指導、説明してもらい、内容を自分なりに理解できたと思っています。自分では分かっていたパンについての基本的な事や成形の仕方など、まだまだ分かっていなかったと痛感しました。
作業工程での効率的な行動など、とても為になりました。
あと、たくさんの方々に教えてもらい、色々な発見・驚きを感じました。
この合宿は、自分の視野が広がりとても良い経験になりました。どうも有難うございました。
お世話になりました。緑の風の皆さんどうもありがとうございました。


小麦塾に参加して〜
石崎 ゆり子

今回初めて本格的にパン作りというものを学ばせてもらいました。よろず相談の方々、また実際にパン作りを教えていただいた先生方、本当に有難うございました。
お陰様で私にとっては大変良い経験をさせてもらいました。
いつもレシピ本を頼りに一人で取り組んでいたパン作り。焼き上がりの達成感は格別でしたが、自己流なため、原因不明の失敗も多かったのは確かです。
今回、材料の勉強においては、砂糖・塩・油脂の働きを学び、なぜそれを入れるのかというそもそもの理由をする事が出来ました。有名なパン屋さんのレシピ本では材料にこだわり高価な物を使用したり、複雑なやり方が良いとされ、書かれているままにそれがどういう理由で必要な工程なのかを知らないままに行っていたような気がします。
本当に聞く話全てが興味深く、面白いものでした。きっと先生方が長年の経験や勉強から苦労して体得したものだと思い、それを直接聞けてしまう事に少し申し訳なさまで覚えてしまいました。
今回特に印象的だったのは、技術や知識もさることながら、先生方のパン作りに対する思いです。美味しいパンを作ろうという気持ちが適切な温度の設定や時間をかけて発酵させること、手をかけることを惜しまない姿勢に表れているなと思いました。自分はパンを作る事が好きで、その気持ちは変わらないけれど、果たして先生方のように真剣に取り組む事が出来るかと考えると急に自信がなくなってしまうこともありました。自分が今まであまりにも何も知らないで、ただ好きだというだけで作り続けてきた…というものあります。それでも親切に分かりやすい教え方で、素人の私でもよく分かりました。帰ってから早くまた自分で作ってみたいという気持ちになりました。
もっともっと上手になりたいという思いも強くなりました。
今後もまたわからない事などで相談する事があると思いますが、よろしくお願いいたします。
本当にどうも有難うございました。私が将来、北海道で小さなパン屋を開く事が出来たら、今回の学習の事をいたして、頑張っていきたいと思います。


小麦塾に参加して〜
小田 房秀

今回初めて小麦塾に参加させて頂きましたが、講習内容、宿泊施設、食事のいづれも素晴らしくとても感激しております。
講習内容は経験豊かな講師の皆様が実践に基づいた技と分かりやすく説明して頂き、他の講習では得られない貴重な経験をさせて頂きました。
天然酵母の起こし方、デニッシュ生地の折り込み、ソフトフランス生地の様々な応用、長時間発酵のフランスパン、どれもすぐに自分でやってみたい内容ばかりでした。
宿泊は、とても立派なゲストハウスを提供して頂き、あのような素晴らしいログハウスに宿泊できた事は一生の思い出です。
食事もスタッフの皆様が工夫をこらして色々美味しい料理を作っていただきとても満足しております。
社会福祉法人緑の風の活動を知る事ができた事も今回大きな成果でした。緑の中で素敵な笑顔で働いている人達を見るとこちらも元気が沸いてくる思いでした。
今後も小麦塾の精神が受け継がれ、発展していくことを心からお祈り申し上げております。
講師の皆様、スタッフの皆様、今回は本当に有難うございました。心よりお礼申し上げます。


第2回小麦塾(中級)八ヶ岳合宿〜
浅村 真治

今回の合宿でこれからの自分の方向性が少し見えてきたような気がしました。
山本講師のこれまでもパン屋さんとしての成り行きや、考え方の変化などをお聞きしているうちに自分もこれから借金を抱え、営業していく上で何が大事か、自分がもし倒れたときはどうするのか、どうなるのかを真剣に考えていく中で、自分一人が何でもやるというスタイルから自分がいなくても店がまわるようなシステムを作らないといけないと思うようになりました。
「アーティストになるな」「理論でなく現場でいかに判断していくかだ」「80点を目指さず、60点でもOK」「いいパン職人になる前にいい人間であれ」などなど…胸に刺さる言葉がたくさんありました。「これだけでもここに来た価値がある」と本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
また、加藤先生、足立先生の現場でもちょっとしたコツや作業の手順など、とても参考になり、明日から即実行しようと思っております。できれば加藤先生、足立先生ともっと一緒にパン作りをして、もっと色んな話を聞きたいし、もっといろんな事を勉強させていただきたいと思っています。
何か分からないことがあればメールで「よろず相談」の方に連絡してもよろしいでしょうか?
せっかくのお知り合いになれたのに、これで最後というのは少々悲しい気持ちがします。
お忙しくないときにでも、返信いただければ幸いと思います。
そして「みっちゃん」にはこういう気持ちを与えていただいた事を感謝します。
「みっちゃん」の野望(言葉が悪いですか?)を聞かせてもらって、これからの日本の食糧事情を考えると本当に不安になります。でも今は小さな力かもしれないけど、これはもっと大きくしなければこの国は駄目になってしまう。と真剣に考えました。この輪がもっともっと大きくなると信じています。 最後に鈴木さんや緑の風の皆様には、本当にお世話になりました。食事や飲み物の手配から、宿泊施設の提供までしていただいて本当に快適に合宿を送ることができ、これもまた感謝感謝です。鈴木さんの園芸療法や利用者の皆に接する姿に頭が下がります。これからもパンを通して利用者のやりがいや、意欲をもっともっと引き出してあげて欲しいと「パン職人」として思います。
私自身あまり人と接するのが上手くないので、皆様方にはとっつきにくいヤツだと思われたかもしれませんが、少し時間がかかる方なのでお許し下さい。
要望としては「中級」「初級」を明確に分けてもらった方が良かったのではないかと思います。
そうするともう少しお互いに仲間意識を持って、合宿に参加できるのではないかなと思います。
失礼を覚悟で申し上げました。ごめんなさい。
でも参加した事に後悔はありません。本当に本当にためになりました。これからの分岐点になるのではないかと思っています。有難うございました。

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