パン屋さんのフィールドワーク・その2 大学生の楽しい「パン修行」 〜阿佐ヶ谷の「ベーカリーグッドモーニング」〜
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1 阿佐ヶ谷商店街の中にあるパン屋さん |
私たちは、6月2日に清水弥生さんが経営する「ベーカリー・グッドモーニング」のパン教室に行ってきました。 |
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JR阿佐ヶ谷駅から歩いて数分、アーケード商店街のパールセンターのにぎやかな中心部に「ベーカリー・グッドモーニング」があります。 |
オリジナルキャラクターの描かれた看板とカラフルな風船の装飾が目を引く外観。商店街の中という場所柄、買い物途中のお客さんが休憩できるようにとの心遣いから店の前にはベンチが設置してあります。 |
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店内の正面にはベーカリー・グッドモーニングの特色でもある対面販売式の大きなショーケースが設けられ、販売スタッフの方がお客さんに笑顔で声をかけて出迎えてくれます。またショーケースの中以外にも、食パン・ジャム類は左の棚に置かれ、その奥にはソフトクリームの機械があります。 |
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ショーケースのすぐ後ろには石窯風のオーブンが並んでいます。このパン焼き窯は先日武蔵大学に講義に来ていただいた澤畠光弘さんの会社である櫛澤電機制作所の溶岩窯です。 |
今回パン作りの指導をしてくださった清水弥生さんは、ベーカリー・グッドモーニングの店長さんでもあります。 清水さんはサンリオのOL生活を経て東京製菓学校の製パン科に入学して、パン作りの知識を学びました。その後結婚、十年間を三人の男の子の子育てで過ごしましたが、三男の小学校入学をきっかけに趣味として自宅の隣のアパートの一室でパン教室を始めました。人づてに評判が広まって人数が増えたころ、夫と一緒に経営していた化粧品店の隣の物件が空き、夫に勧められてパン屋の開店を決意しました。「朝食に焼きたてのパンを提供したい」という願いと小さな子でも一度で覚えられる親しみやすさを考えて、『ベーカリー・グッドモーニング』という店名で2001年10月にオープンしました。現在も店の二階で開かれるパン教室の指導を行っていますが、清水さんご自身は販売に徹しています。 |
2 ふわふわパン生地 |
グッドモーニングの2階ではサンドウィッチを作る場としての他に、地域の人たちに刺繍教室、ピアノの発表会、英語教室など場所を提供しています。清水さんは、☆身近な材料で作る ☆家事をしながらでも作れる ☆小さな台所でも作れる ☆楽しく楽しく作る といったことを大切にしながらパン教室を開いています。親子連れが多いそうですが、要望に応じて好きなものを作ることができるので、パン以外でもバレンタインの時には近所の高校生とチョコレートケーキを作ったこともあったそうです。今回私たちは、ふわふわピザ生地を使った“バジルピザ”と“バナナピザ”、そして“オレンジパン”作りを体験してきました。ここではふわふわピザ生地の作り方の流れを簡単に紹介します。 |
(材料)直径18cmのピザ3枚分 強力粉・・・・・・・・・・・・250g 薄力粉・・・・・・・・・・・・50g ドライイースト・・・・・・・小さじ2 砂糖・・・・・・・・・・・・・・大さじ1 塩・・・・・・・・・・・・・・・・少々 オリーブ油・・・・・・・・・・大さじ1 ぬるま湯・・・・・・・・・・・180cc 打ち粉用の強力粉・・・適量 |
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①粉を量るところまでは清水さんが準備してくださっていたので私たちは砂糖や塩の分量を量ることから始めました。 ②ボールに材料を入れて(ぬるま湯は最後)表面がなめらかになるまでよく練ります。軽くオイルを塗ったボールに入れてラップをし、室温で約40分おき発酵させます。 ③生地をたたいてガス(空気)を抜いた後に、もう一度形を整えて少しねかせます。 ④1.5cmくらいの厚さにして丸や四角に成型します。ここで、パンが膨らみ過ぎないようにフォークでピケ(穴あけ)をします。生地に薄くオイルを塗りお好みの材料をのせます。 ⑤220℃で約20分間焼きます。 清水さんが、「もっと気軽にパン作りができることを知ってもらいたい。」とおっしゃっていましたが、本当に簡単に作れるとは思いませんでした。 |
3 オレンジパン |
次にしょっぱい系の次は甘い系ということで、オレンジパンの作り方について教えていただきました。手順に沿って説明していきたいと思います。ちなみにここで説明する作り方はオレンジパン10個分です。 ①まずはじめに、二—ディングという作業をします。これは「練る」という意味で、手で練っても機械で練ってもかまわないそうです。ボールを用意し、強力粉300g、ドライイースト6g(インスタントのものでもよく、冷凍保存するとよいそうです)、砂糖20g(ドライイーストの発行を助けます)、塩5g(生地の味を引き締めます)、バター30g、たまご1個、オレンジジュース150cc (無糖で100%のものがよく、常温保存がよいそうです)、オレンジピール20g、グラニュー糖適量(キラキラしているので飾りの役目をします)、を入れ、こねます。ダマがなくなり、表面がなめらかになるまで混ぜます。 ②次に、発酵させます。これを1次発酵といいます。先ほど練ったものにぬれぶきんをかけ、ラップをします。そしてボールに入れたまま湯せんに40分程度かまします。するとだいたい2倍ぐらいになります。 ③ここでは、中にたまったガスを抜く作業をします。 ④次は分割します。50gずつはかりを使いながら切り分けます。 ⑤そしてその切り分けたものを丸めます。このときも表面がなめらかになるようにきれいに丸めます。 ⑥ベンチタイム、つまり生地を休ませます。15分ほど休ませると生地が緩み、成型しやすくなります。 ⑦休ませた生地を成型します。そして型に入れるのですが、型に油を塗ると焼きあがった後にはがしやすくなります。このとき、缶に入っているスプレーの油を使 うと便利です。 ⑧仕上げ発酵させます。生地を型に入れたまま乾燥させないように20分ほど乾燥させます。 ⑨そして最後に焼きます。180℃のオーブンで12分焼きます。焼きあがりましたら最後にグラニュー糖を振って完成です。 |
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4 パン作りの時に話したこと パンの種類について。 季節によってその季節に旬の野菜などを使ってバリエーションを増やしている。例えば、アンパンの中身を秋はかぼちゃアンにしてみたり春は桜アンパンにしたりサンドウィッチの中身を変化させたりしているそうです。また、従来のパンのバリエーションを増やすだけでなく季節ごとに大体三つずつくらいのまったく新しいパンを出しています。天然酵母を使っている山型食パンが一番の人気商品です。 全対面式販売という形態の販売方法について。 まず、最初お店を作るときにスペースが少なくて普通のパン屋さんと同じお客様が自分で歩いて取ってもらうようにするのは出来そうになかったので、お客さまとコミュニケーションをとれる対面式に思い切ってしたのでした。対面式で一番の利点は何より衛生面です。でも、お客様はパンを吟味してから注文するので客単価はかなり低くなってしまうそうです。 息子さんの話。 15歳、13歳、10歳の男の子三兄弟のお母さんです。お店のキャラクターはこの一番下の男の子と家のゴールデンリトルバーの犬です。一番上の息子さんはイベントのときやパンの配達なども手伝ってくれるそうです。お店で売っている三色パンに三兄弟という名前をつけています。お子さんの意見もパン開発に役立っている。(私たちがパン教室で作ったパンでピザパンの上にバナナとシナモンシュガーをかけて焼くパンは家で息子さんたちが考え出したパンだそうです。) 新しいパンはどうやって作り出されるのか。 清水さんがこういうのを作ってみたら?と提案することもあります。また、スタッフの人が自分たちで工夫をして自由に作ってみて美味くいったものが新しい商品としてお店に並ぶこともあります。たくさんの試作品の中から数個が実際の商品になるそうです。(私たちが行ったときちょうど、20代前半の女の人でつい最近パン修行の為に出てきてこのパン屋に勤め始めたというスタッフの人が試作品を作っていて私たちも食べさせてもらいました。ヨーグルトのパンが二種類で、きなこと豆のパン、チーズとトマトのパンでした。) |
5 楽しかった修行 柄澤公雄 今回言ったパン屋さん、グッドモーニングのオーナーの清水さんが最初から最後まですごく感じがよく、そしてその感じの良さはお客さんに対しても同じだったのが印象的でした。本当にいい人でした。また旦那さんもわざわざ挨拶をしに来てくれたり、お客さんと楽しげに話しているのを見て、ほんと素敵な夫婦だなぁ、と思いました。従業員の皆さんも和やかなムードで仕事をしていて、仲がよくてアットホームな感じがしました。そして自分たちで作ったパンも、出来立てということもあってか格別においしかったです。 高原浩実 初めてのパン作りとっても楽しかったです。清水さんははきはきしていてとてもよい人でした。パン作りの間も明るく楽しくお話をしてくれました。私は清水さんの考え方や人生にとても共感しました。私も人生絶対に無駄なことはないと思っていますが、まさにそれを実行し、いきいきと生活している清水さんをとても素敵だと思いました。 南雲敦子 パン作りの指導をしていただいた店長の清水さんは明るく話し上手の気さくな方で、店内の随所にみうけられたお客さんへの心遣いにも清水さんの人柄が表れているように思いました。会話も一緒にパン作りを楽しませていただき、3時間ほどのパン教室とインタビューがあっという間に感じました。趣味だったパン作りを自分のやりたいこととして仕事にできている姿は、いきいきとしていてとても格好よかったです。 福井しのぶ 今回魅力的な清水さんと念願のパン作りができて嬉しかったです。実際にお店で夕方の忙しい風景も拝見しました。それでも対面式にこだわり、コミュニケーションを大切にしているグッドモーニングのようなお店こそ、地域に密着しているパン屋さんだなと実感しました。また、今回はお話する機会が少なかったのですが、清水さんの旦那さんがお店の前にいらっしゃって、たくさんのお客さんと親しげに話しているのがとても印象的でした。そして何より、自分たちで作ったパンは最高においしかったです! |