パン屋さんのフィールドワーク・その5 「パン・ボラ」って何? 〜調布のすまいるパン工房と、アメリカファミリー生命保険〜
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1 パン・ボラとは? |
アメリカンファミリー生命保険では、調布駅前の自社ビルAFLACスクウェアの一階のロビーの一部を開放。障害者通所授産施設「すまいるパン工房」のスタッフはここで毎日、午前11:30から手作りパンを販売しています。社員による提案から始まったので、「社員によるパンを通じてのボランティア」=「パン・ボラ」と社内では呼んでいるそうです。パンボラは2001年7月に始まり、現在ではすっかり社員にも定着している、とのことですが、まず始まる前の状況について島田さん、村上さんにきいてみました。 |
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反発はありませんが、いろいろとクリアにしなければならない問題点はたくさんありましたよ。ロビーの一部を開放するのは業務上邪魔ではないか、セキュリティの関係上、すまいるのみなさんの入館をどうするか、そして食品を扱うということには特に注意をしました。社内からは、他にもいろいろな指摘がありました。また、すまいるパン工房の方と直接話をし、かけ橋となるる私たち広報部は普段新宿にいるので、毎日の運営は大丈夫かということも考えました。パンの搬入についても、最善の方法を防災センターと共にいろいろと考えました。 |
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AFLAC側にとっても、すまいる側にとっても‘企業→施設’という一方向の支援ではなく、Win-Winの関係でありたいというのは共通した思いだったようです。そのためパンボラ開始にあたってはWin-Winな関係を築くための調整もあったようです。 |
当初、私達はパンの販売は週一回でどうかと提案していました。しかし、パン工房側からの要望で、毎日販売することになりました。また、販売の時間帯についてもパン工房の方は仕込みの都合上、12:00からの販売を望んでいました。しかし、AFLAC社員のお昼休みは11:30から始まる人と12:00から始まる人に分かれているため、12:00からの販売では11:30からの人はパンを買うことができません。そのため、11:30からの販売にしてもらっています。毎日だいたい12:00ぐらいが最も混み合います。販売者をされているすまいるの方もおなかがすくでしょうが、そんなことも忘れて夢中になり、完売すると喜んで帰っていく姿が見られます。 |
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AFLACは販売場所ににパンを置く机とコンセントも提供しています。コンセントについては、パン工房の方がコンピューターで売り上げを管理するのに使用しています。パン工房の方もとても積極的でした。現在、商品開発や研究も熱心にされているようで、コンビニなどのように、売れない商品は変えていくようにしているそうです。また商品をコンピューターで管理することでデータ分析もされています。 実は、AFLACの食堂でもパンは売っています。パン工房の方はその値段や味も調べて価格を設定したり、季節限定のパンを作ったりととても積極的です。パン工房の登場によって、心配されましたが、社員数の増加により、いつも社員食堂が大変混み合い、待ち時間が長くなったり、座席がなくなるなどの状況があったため、今となっては「おいしいパンがすぐ買える」と社員から大変好評のようです。また、障害者の方にとっても普段ネクタイや背広姿の人に接する機会はあまりないのでパン販売を通じて社会参加の良い機会になったと思います。 |
2 「すまいるパン工房」の店長さん(20代・女性)のお話 |
AFLAC調布支店のロビーの一部で、毎日11時30分からの昼休みの時間、パンを販売している障害者通所授産施設「すまいるパン工房」の方々。店員は全員で4人(内2人は施設職員の方)。赤い帽子がトレードマークの制服。パンの種類も二十数種類と豊富で、日替わりの店長さんのおすすめ品がありました。季節限定の品もあるそうです。値段は低価格に抑えてあり、味もとってもおいしかったです。お忙しい中、店長さん(20代・女性)のお話を少しうかがうことができました。 |
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障害者の方は曜日ごとの担当制で、毎日同じ2人ずつが来ています。パンを種類ごとに分けてビニール袋に入れる係と、レジバッグに入れるのが主な仕事です。私たち施設の者は、週に2回とか3回交代制で来ています。 |
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おすすめパンはどのようにして決めているのですか? |
ちょっと売れなそうだなぁと思ったものをおすすめしたりしています(笑)。今日はゼリーがおすすめ品になっていますが、このようなパン以外の商品は日によって作られるものが違ったりするので、それをおすすめしたりしています。 |
とにかく“福祉”とか“ボランティア”という色を出したくなかった。できるだけ普通のパン屋さんに近づけたかったので。初めは、三角巾にエプロン、というような格好でしたが、赤い帽子もみんなで揃えて制服のようにしたんです。このパンの名札も、パン屋さん専用のこういった名札作りのソフトを買って、自分たちでパソコンで作ったんですよ。 |
明るくて元気いっぱいの親切な店長さんでした。社員さんの中には顔なじみの人も多くいるようで、街のパン屋さんが昼休みの間だけそのまま移動して来たような、そんな雰囲気でした。 |
3 社員さんのお話 「すまいるパン工房」にパンを買いに来ていた社員の方にもお話をうかがいました。 |
やっぱり12時からの時間が一番混みますね。このパン屋さんはとてもおいしいので、週に3・4回は利用します。お気に入りのパンもありますよ(笑)お店の方とも常連なので顔なじみになってしまいました。昼食としても買いに来ますし、多めに買って昼食の後にも食べたりします。 |
パンは多めに買って帰って、次の日の朝に食べたりします。特にバターロールなどが、安くておいしいのでよく買っています。 |
12時を過ぎた頃になるとたくさんの社員さんがパンを買いにやってきていました。常連の社員さんとお店の方は笑顔で会話。昼食としてだけでなく、次の日の朝の分まで買っていくような方もいるなど、社員さんにとっては、なくてはならない存在になっているようです。お互いにパートナーとして、理想的な関係が成り立っているのがとても良くわかりました。 |
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4 その他のボランティアについて AFLACでは、パンボラ以外にも様々なボランティア活動を行っています。その活動のことについてもうかがいました。 |
「ワンハンドレッドクラブ」は、社員有志が毎月の給与から、1口100円から任意口数の寄付で行っているボランティアです。ボランティアに興味を持っていても時間がなくて、なかなか参加できない人も気軽に参加できるようにと始めました。 「花ボラ」も100人のうち一人でもやりたい社員がいたらと思って始めたボランティア活動の一つです。有志の社員に花ボラセットを送って、苗を育ててもらい、育った苗をまた送り返してもらっています。育ててもらった苗は、その後また有志の社員を募り、児童養護施設などの花壇に植え換えに行ってます。 |
その他にも、バレンタイン献血、テトラ基金、釣りボラ、サンタボラ、買うボラ、災害時の義援金支援などの活動も行っているそうです。 |
何をやると決めているのではないですが、「がん」「子ども」「家族」をテーマに掲げ、「できることからはじめよう」ということをモットーに、ボランティア活動を展開しています。また、その時その時にあった、やるべきと思われる活動を行っています。例えば、阪神大震災の時や同時多発テロのときも募金活動を行いました。 |
ボランティア活動に対する会社のモットーは「できることからはじめよう」ということのようだが、できないことというのはどういったものなのか尋ねてみました。 |
AFLACの社会貢献活動には、3つの活動方針が定まっています。「がん」「子ども」「家族」です。がん保険の会社としての「がん」、社名にファミリーを掲げる企業として「家族」、中でも特に未来を担う「子ども」たちを応援しています。ですので、この基本方針に沿っているかどうかが、まずできるできないのベースになります。そして、何故そのような活動を行うのかといった理由、結果、社員の状況も考慮しなければいけません。そのような様々な条件をクリアして活動が決められるのです。 |
ボランティアをやる上で企業のイメージも大事にしているとおしゃっていました。 |
付記:アメリカンファミリー生命保険会社の社会貢献活動 —AFLACの社会貢献活動の方針— 「がん」 「子ども」 「家族」 ※その他、地域に密着した活動等にも積極的に参加しています。 |
—社会貢献活動の3つの柱— ①AFLACキッズサポートシステム ・アフラックがん遺児奨学基金 AFLAC及びAFLAC全国アソシエイツ会からの寄付金により運営しています。がんによって主たる生計維持者を亡くし、修学の機会が狭められている、がん遺児の高校生に、高校卒業まで月々2万5千円の奨学金を給付しています。返還は不要です。 ・AFLACペアレンツハウス 長期の入院や通院が必要な小児がんをはじめとする難病と闘う子どもたちとその家族の経済的負担・精神的負担を軽減していくことを目的とした日本初の総合支援センターです。江東区亀戸にあります。 ②チャリティーイベントの開催 ・チャリティーコンサート アメリカンファミリー生命スペシャルスペースチャリティーコンサート&クリスマスコンサートがあり、1994年から続くコンサートです。募金箱によるチャリティーの他にも、出演者のご厚意により当日のCD売上金の一部も寄付されます。 ・AFLACフォーラム 1991年から続く、対談形式のトークイベントを行っています。各界で活躍中の著名人のトークによって、「いのち」や「家族」といったテーマを会場の皆さまとともに考えます。会場では、募金箱によるチャリティー活動も行われます。 ③ボランティア活動の推進 |
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