〜B&C 2002-9-10 パンニュースより〜

連載の題名:甲斐の国から小麦の風 −わたしたちの小麦粉闘記⑤−
第5回目の題名:甲斐小麦、収穫!

リポーター 社会福祉法人 緑の風
設立準備担当/ 栗原えつこ

甲斐小麦は、比較的雨量が少ないという大泉村・長坂町の地域性にも助けられ、今年も無事に収穫が終わりました。私たちはこの秋からの生産に備えて、甲斐小麦を生産した農家の方にお願いして甲斐小麦の収穫の様子を見せていただきました。

7月上旬、山梨県の八ヶ岳南麓では梅雨の合間をぬって甲斐小麦が収穫されました。甲斐小麦の産地である大泉村・長坂町一帯は雨の少ない地域とはいえ、やはりきちんと梅雨の季節が巡ってきます。

小麦の穂に雨が多くあたると、粉に挽いたときの歩留まりが落ちたり、粉にしたときの色が悪くなったり、粉の弾力性が落ちたりするそうです。また、熟した小麦の実に長雨があたると、穂の状態のまま発芽してしまい、小麦の晶質が著しく低下してしまいます。

甲斐小麦はコンバインで刈り取り、同時に脱穀まで行なわれます。穂が湿っているとコンバインにからんでしまうので、収穫時期がはずれないように天気の具合を見ながら一気に刈り取っていきました。麦わらは刈り取りと同時にコンバインで10センチ程に裁断されます。刈り取った麦は含まれる水分の量が多いので、すぐに乾燥しないと変質したり発芽不良となってしまいます。収穫した甲斐小麦は天日干しにして乾燥させました。あとは製粉されるのを待つばかりとなっています。

甲斐小麦は、パン屋さんの集まりであるホイートライフクラブが地元の農家の方と契約をして、パン用小麦として評価の高いハルユタ力を山梨県の八ヶ岳南麓で/997年から育ててきたものです。そして同じ年、偶然にも山梨県でハルユタ力が試験栽培され、パンの食味が行なわれていました。山梨県で育てられたハルユタ力で作った食パンは、見ため・香りともによく、弾力があり、かつ柔らかくて口当たりがよく、旨味があって美味しいとの好評価を得ていました。

国内産のパン用小麦に対する注目が高まる中、品質のよい安定した甲斐小麦が供給されるように努力をし続けていきたいと思っています。今年収穫された甲斐小麦のでき具合は、農家の方によるととてもよいそうです。今年の小麦でパンを焼いたらどんな味がするのか…。

「緑の風」の小麦畑では、8月3日にソバを播きました。ソバを播いたのは、甲斐小麦の生産開始を前にして、土の性質、肥料の具合、日照条件や排水の状態、場所による生育の差があるかなど、畑の状態を把握しておきたいというのが目的です。
今まで造成工事を行なってきましたが、季節が目まぐるしく移り変わっていく中、「緑の風」もいよいよ建築工事が始まりました。

去る7月17日、関係者および地域の方々を招待し、起工式が行なわれました。多くの方々から激励の言葉をいただき、関係者一同、気持ちを新たにしました。建築工事はまだ始まったばかりなので、今は基礎工事の段階です。日1日と少しずつ進んではいますが、地上部分はまだ現れてきていないので、楽しみはもう少し先送りです。
建築工事の様子、小麦畑の様子など、「緑の風」の活動をHP上で公開しています。
http://www1.odn.ne.jp/~adu56720

コンバインによる小麦の収穫。


機械が入らないところは手刈りで収穫する。


足跡をつけたところにソバの種を蒔いて行く。


<緑の風>の起工式。


甲斐小麦の収穫を見てきました!(2002年7月6日)

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